八水蒲鉾の地域へのこだわり
かまぼこ紀行

■特 産 品

愛媛には前述したかまぼこ類の他に竹輪、揚げかまぼこ、厚焼き、魚肉ソーセージなどの多くの製品が作られており、一般消費、土産品、贈答品として流通している。ここでは、その他の特産品を紹介する。

・簀巻き
簀巻きは、エソ、グチ、スケトウダラ冷凍すり身等から調製した肉糊を俵状に丸め、両端にセロハンをはり、蒸したかまぼこである。県内どこでも製造されているが、明治三年に初めて作られた今治が主産地で今治地区の特産品となっている。なぜ麦藁を巻いたかは不明であるが、麦藁を使った新製品開発、乾燥を防いだり、保存性を向上させる効果をねらったものであるといわれている。愛媛の簀巻きは、麦藁を巻いてから少しねじり鼓のようにしており、そのユニークな形が受けている。現在、年三百トンほど生産されているが、麦藁が不足しているため、多くはプラスチックのストローが用いられている。また、肉糊の成形、ストロー巻きは機械で行っているところもある。

・ジャコ天ぷら
愛媛の特産品にジャコ天ぷら(皮てんぷらとかじゃこ天と呼んでいる)と称する揚げかまぼこがある。原料には近海で獲れるホタルジャコ(現地ではハランボ)、ヒメジ、ヒイラギ等の小魚を用い、頭、内臓を除去し、得られたドレスをよく水洗いする。次いでミンチにかけ挽肉とし、食塩、調味料、少量の澱粉等を加え、らい潰して肉糊を作る。直ちに木枠あるいは機械で扁平状に成形して大豆油、菜種油のような植物油(180℃-2分)で油ちょう、脱油して作られる。
この製品はかまぼこ類と異なり水晒しを行わず、骨、皮ごと原料とするため、省力的、省資源的な製法と言え、カルシウム等の栄養分も豊富に含まれており健康食品でもある。また、見かけはそれほどよくないが、ソフトな弾力と独特な風味があり、揚げたてや再加熱して醤油を一、二滴たらして食べると最高で、値段も安いことから愛媛の素朴な土産品として定着している。

・皮竹輪
八幡浜の特産品に皮竹輪と呼ばれるものがある。かまぼこ原料に使われるエソの皮を原料にしたものであり、副産物をうまく利用した製品である。ただ、製品にするまで手間がかかり、大量生産ができないことでなかなか手に入らない。エソの皮を肉からはぎ取り、鱗や小骨を手作業で除去し、よく水洗いをする。この皮と少量のつなぎのエソの肉糊を臼に入れ混ぜ合わせ、竹あるいはステンレス棒に手際よく巻き付ける。次いで炭火あるいはガスで焼いて仕上げている。
皮のコラーゲンが溶け出し、つなぎのエソ肉と調和のとれた食感と味は絶品で味わった人でないと説明できないほどの珍味(一本千円位)である。その品質は企業で異なり、秘伝があるようである。一本の皮竹輪にエソの皮が6~10枚は必要であり、原料皮量や手作業である。こともあり、生産が間に合わないため、ほとんど企業の店頭に並ぶことはない。酒の肴にあうことから県内外の料亭からの注文が多いようである。

・削りかまぼこ
かまぼこを乾燥してから適宜機械で削った削りかまぼこがある。原料には冷凍すり身の他、エソ等の生魚も使用されるが弾力はそれほど必要ではない。かまぼこと同様に調製した肉糊を10×15×1cmの木枠で成形し、蒸してかまぼことする。この時、厚さを二分の一とし紐に20枚吊るして乾燥機と天日でからからになるまで乾燥する。次いで削り節の削り機を改良したもので適当な厚みに削る。保存性があるのでプラスチックの袋に入れて常温で販売されている。酒、ビールの肴に適しており、また、吸い物の具等のにも使用されている。

(平成12年6月10日『かまぼこ通信』より)

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■愛媛県工業技術センター 岡 弘康先生について

岡 弘康かまぼこ紀行は、平成12年5月から7月にかけて『かまぼこ通信』に掲載されました。
1937年、札幌に生まれる。1960年、北海道大学水産学部製造学科卒。1960年、愛媛県農産加工指導所研究員、1964年、愛媛県総合化学技術指導所研究員、1979年、愛媛県工業試験場主任研究員、1986年、愛媛県工業技術センター食品部門主任研究員、1992年、同研究企画室長、1995年、同研究企画課長、技術士(水産部門)、水産学博士。
愛媛県に入って以来、現在まで32年余りに渡り水産加工の研究・指導に従事、1980年、南極オキアミの食用化技術開発研究のため水産庁の委託で南氷洋へ、1986年、浮魚の利用加工指導のため国際協力事業団から上海市(上海水産物加工技術開発センター)へ派遣。1995年、中小企業庁長官表彰受賞。日本水産学会、日本食品衛生学会、伝統食品研究会会員。

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